本作が録音された1966年は、Cortaraneの生涯にとっても、日本のファンにとっても忘れられない年であると 思う。5月に本作が収録され、7月には、待望の初来日を果たし、各地で聴衆に深い感銘を与えたとされている。 Ascension以降の作品は、ファンに混乱をもたらした。時代と共に連動する彼の「怒り」は、演奏に現れ、そして それは、多くのリスナーを混乱させてしまった。人々の「怒り」のエネルギーは、アメリカ全土を覆い尽くし、公民 権運動は、最高潮を迎える。しかし、「怒り」のエネルギーは、マルコムXとキング牧師という二人の黒人解放運動 の旗頭を結果として失わせてしまう。 こうした時代背景の下に本作が録音される。「怒り」がもたらすもの が新たな 「悲しみ」でしかないことに彼は、気づいたのであろう。本作の演奏は、すさまじいエネルギーを感じさせはする ものの、ある種の風格を感じさせてくれる。 新たなメンバーを迎え、取り戻しつつある「和」を拠り所とし、 新たな頂に向かって出発するドキュメントが本作であろう。そして、2ヶ月後に収録された「Live in Japan」の演奏 にさらに大きくなっている「和」を聴くことができるのである。 1 Naima 2 Introduction to My Favorite Things 3 My Favorite Things