インドネシア・アスマット地方の頭蓋骨穿孔専用の星型石器 インドネシア・イリアンジャヤ・アスマット地方の頭蓋骨穿孔専用の星型石器(極希少) インドネシア最東端イリアンジャヤ州の南西部に位置するアスマット(Asmat)地方は、世界的に有名な原始美術(Primitive Arts)の宝庫です。1930年代に欧米の宣教団が布教活動をスタートさせる以前は、まさに“石器時代”の真っ只中にありました。一方、北海道ほどの広大な湿原地帯から成るアスマット地方には、小さな石ころ一つ落ちていない、いわゆる『石のない世界』です。泥と土そして深いジャングルが支配する、厳しい自然環境。そのため、道具として、そして結納品として欠くことのできない石器は、遥か中央高地の部族との交易で手に入れてきました。また、豪雨によってなぎ倒され、上流から流れてきた倒木の根の部分に付着している石の中から、石器に適したものを探したとの報告もあります。アスマトでは、まさに石こそがダイヤモンドだったのです。 写真の星型石器は、樹木の伐採や加工に用いる通常の石器とは著しく異なり、ずばり人間の頭蓋骨に穴を開けるためだけに使用されました。頭蓋骨穿孔専用の石器です。部族戦争が頻繁に発生していた時代、敵の首を狩って村へ帰ると、勝利の宴がイョウ(男だけが入室を許される儀礼長屋)で執り行われました。敵の生首はイロリの火で“調理”されます。そして焼きあがった頭蓋骨のこめかみ部分を、この星型石器で穿孔し、その穴から脳を取り出し、まず長老らに、次いで宴の参加者に振舞われたのです。サイズは、最大径が約10cmと約9.5cm。厚みはおよそ3cmです。重さは約362グラム。また中央に開いた棍棒を取り付ける穴は、開口部の直径が約2cm、最も狭い部分が約7mm。イョウでの頭蓋骨穿孔の専用道具として使われた一方で、時には、この星型石器は、部族戦争の接近戦の場面において、敵の頭部を破壊する武器としても使用されました。石が存在しないアスマット社会で、あらゆる石器の中で、最も神聖視された石が、まさにこの星型石器だったのです。アスマット地方でも、各村に1~2個程度しか存在しない極めて神聖でかつ貴重なものでした。また、この星型石器のように、相当使い込まれたのにも関わらず、星型をかろうじて維持した状態で残っていたことは驚異的です。というのも、多くの殺戮用石器が、キリスト教宣教師の到来と共に焼き捨てられ、今日では欧米の一部の民族博物館に陳列されているのみです。送料は当方で負担いたします。 インドネシア文化宮 GBI=Graha Budaya Indonesia)は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。 インドネシア文化宮ブログサイト:http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/