インドネシア・アチェ州で見つけた日本製クリスタル花瓶A(緑・ピンク) 東南アジアの地図を眺めてみよう。インドネシアは、なんと広大な領域に展開しているのだろう!インド洋に面し、マラッカ海峡の出入り口にあたるアチェ特別州、そして東端の、南太平洋に浮かぶニューギニア島の西半分に位置するパプア(旧イリアンジャヤ)州まで、その東西距離は、北米大陸のそれを上回ります。1万7千の島々から成る、世界第四位の人口大国です。言い換えれば、世界最大の海洋群島国家とも言えましょう。大きく分けても、数百の民族から構成されています。これだけ広範な海域に多数の島が点在していますと、“国境”の概念も、民族によって大きく異なります。例えば、イリアンジャヤの先住民は、お隣の独立国であるパプアニューギニアの人々を「同じパプア民族」と考え、逆にジャワ人やマカッサル人を「赤の他人」とさえ捉えています。同様に、カリマンタン(旧ボルネオ)島に暮らす人々は北側そして西南に位置するマレーシア、特にサラワクの人々を「親しい隣人」と捉えています。同様に、東カリマンタン州の人々は、北側に位置するフィリピンの先住民族をやはり“同朋”と捉えています。また、北スラウェシでは、フィリピンや日本と歴史的に関係が深く、文化的影響を受けた形跡が色濃く残っています。 写真の見事なクリスタル製品は、実はその昔日本からインドネシアに渡ったものです。それがいつの時代であったのか正確なことは分かりません。おそらく大正時代か昭和初期のことと推定されています。ところで、この“クリスタル・ジャパン”は、今では首都ジャカルタやバリ島の有名骨董店でもたまに見かけることがあります。そればかりか、西カリマンタン州の州都ポンティアナックにある州立博物館では、“海外渡来”の品々に混じって、この日本製クリスタル花瓶が展示されています。 底部の処理などに多少荒削りの痕跡があり、またガラスの内部に気泡が残っている点など、いわゆる“昔風”ですが、その素晴らしいガラス工芸技術に圧倒されます。この深緑をベースにした花瓶の場合、口のピンクと白のグラデーションが実に見事です。高さはおよそ22.5cm、底部の直径が約8.5cm、開口部の直径が約10cm。重さは約605グラムです。文民戒厳令下の2004年8月に州都バンダ・アチェで見つけた逸品です。 インドネシア文化宮 GBI=Graha Budaya Indonesia)は、インドネシアの24時間ニューステレビ局『メトロTV』東京支局がプロデュースするインドネシア情報発信基地です。 インドネシア文化宮ブログサイト:http://grahabudayaindonesia.at.webry.info/