ご覧いただきありがとうございます。 有名童話作家の三輪裕子さんの名作です。 お子様の想像力を豊かにするためにもぜひ読んで聞かせてあげてください。 この本の概要 『この家にもプチピエールさんにも何か秘密がありそう』 見知らぬ老人 プチピエールさんからの招待で いとこの 正子姉さんや朱里とスイスに来た千佳はこの旅行に隠された謎を探り始めたが…。 作者からのあとがき スイスは有名な観光国ですがその賑わい から外れたところにひっそりと トランスモンの村はありました。 村のかたすみに立つ一軒の大きな白い家。スイスの 友人 一族が 所有している その田舎の家のことを初めて聞いた時から私はなぜか強く心惹かれるものを感じていました。 200年以上も前に建てられたという家。 気が遠くなるほど長い時の流れはその家に一体何を刻みつけてきたのでしょうか。 時計職人だった先祖 宿屋を営んでいた 先祖 牧師をしていた先祖…と 様々な人々が次々やがて 次の世代へ 代々引き付いてきた家。 私はその家のことを考える旅になぜかワクワク ゾクゾクとしてしまうのでした。 その家にいつか行ってみたいと思いながら数年が過ぎました。 ようやく 目がかなって訪れることができたのは3年も前のことです。 きっと何百年もの間 この田園風景だけは変わらなかったのだろう。そんなことを思いながら 牧草地の間のプラタナスの並木道を登っていきました。 白い家に一歩足を踏み入れるとそこはもう 想像していた以上に不思議な世界。突然昔々に入り込んでしまったような気がして頭がクラクラ としました。 静かで迷ってしまいそうなほど広い家の中に古い家具や 道具などがひしめき合っていて今にも何かを語りかけてきそうなのです。 それらにそっと耳を傾け 助けられながら書いたのが この物語です。 本にするにあたって いつも憧れていたいせひでこさんに絵を書いていただけたことは本当に幸運でした。それからPetierre Bovet家の皆様 講談社の方々 ありがとうございました。 1991年 春 三輪裕子