Peter Frampton THANK YOU MR. CHURCHILL 2010年。国内正規盤1CD。 ボーナストラック3曲を収録!うち1曲は、"While My Guitar Gently Weeps"!! グラミー賞受賞作『Fingerprints』以来、約4年ぶりとなる新作である。本作には北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさんに捧げられた曲が2曲収録されている。M-6「アスリープ・アット・ザ・ホィール」はある日突然、見知らぬ者に自由を奪われた彼女の悲しみと、いつか自由になる日への希望を歌っている。また、M-7「リベルテ組曲」の前半を占める「Megumi」は彼女に送る、心を揺さぶるインストゥルメンタル曲だ。彼女が拉致されたのと同じ年頃の娘を持つ父親であるフランプトンのありったけの思いが伝わってくる。 フランプトンの家族に向けた思いは、アルバム全編を貫かれている。アルバム・タイトル曲M-1「サンキュー ミスター・チャーチル」は自らの父親に贈る曲。第二次世界大戦に出征した父が無事帰国することが出来たことを心から喜び、父への思いを表現した曲。また、M-5「ヴォードヴィル・ナナ・アンド・ザ・バンジョーレレ」は彼に音楽家としての道を進ませるきっかけとなった祖母との思い出について描いた曲だ。さらに「ロード・トゥ・ザ・サン」では21歳の息子ジュリアンがヴォーカルをとるなど、『サンキュー ミスター・チャーチル』はフランプトンにとってのファミリー・アルバムだといえるだろう。 70年代にブリティッシュ・ハード・ロックの雄ハンブル・パイで活躍した彼ならではのギター・プレイもM-2「ソリューション」、M-9「アイ・ウォント・イット・バック」で聴くことが出来るが、やはり圧巻なのがインストゥルメンタル曲「リベルテ組曲」。横田めぐみさんに捧げられた「Megumi」に加え、ブルース・テイストあふれる「Huria Watu」は、そのギタリストとしての幅の広さを感じさせる。さらにM-10「インヴィジブル・マン」ではソウルの名門モータウン・レコーズへの敬意を歌うなど、フランプトンのトータルな音楽性をあますところなく収めたアルバムが『サンキュー ミスター・チャーチル』なのである。