おおむね良好です。 中古本にご理解のある方、宜しくお願い致します。 喜多嶋 隆 定価: ¥ 1300 20240122-1200 中央公論新社 978-4120049910 「シャワーね……」とジェーンがつぶやくように言った。 僕も、窓の外を見た。確かに、通り雨が降りはじめていた。 植え込みにあるブーゲンヴィリアの花が、シャワーの雨粒をうけて濡れていた。 多くの観光客たちが、店先などで雨やどりをしている。僕は、胸の中でうなずいていた。 日本人は、本当に雨に濡れるのをいやがる。いくらカジュアルな服装をしていても、たとえ、いまのような天気雨であっても、濡れることをいやがる。雨やどりをする。 それに比べ、ローカルの人は、シャワーに濡れても平気だ。雨粒など気にする様子もなく、笑顔で歩いていく……。 (「シャワーの中を、歩き続けた」より) 通り雨のように出会い、波の上で抱きしめ、夕陽のなかで手を振った――喜多嶋隆のハワイアン・ラブ・ストーリー掌編集! (収録作品) 鐘の鳴る島/シャンパンに、さようなら/そんな彼に恋した/あの頃、メルセデス/マヒマヒと恋が、一緒に釣れた/シャワーの中を、歩き続けた/二人だけの入江/消えていった恋もある/小鳥たちのように愛し合おう/短いほど美しい恋もある/虹が降るグラウンド/ハーバーで待っていた/ガソリン代は、魚で払う/君の瞳をカクテルにした/マギーは、本が好きだった/あの日、ここで式をあげた/一番大切なものは、お金で買えない/ツナ・サンドには秘密があった/ワイキキ・ビーチで探しもの/ティー・ショットは、3分間、おあずけ/ソルト&ペッパーのような恋/あの頃、17歳だった/プールサイドで君と出会った/サマー・ロール/トロフィーより美しい/花のシャワーをあびた日もあった/器用だけど不器用/カイルアで再会した/ビール記念日/かつて、オリンピック候補だった/一人より二人/あの横顔を、ふと思い出す/そのズボンを脱げ/気にしない/世界一遅いレストラン 著者 明治大学卒業後、コピーライター・CMディレクターを経て、「マルガリータを飲むには早すぎる」で小説現代新人賞。〈CFギャング〉シリーズ、〈ブラディ・マリー〉シリーズ、『ペギーの居酒屋』、『鎌倉ビーチ・ボーズ』、『向かい風でも君は咲く』など。小説以外にも『ハワイは大人の遊び場だ。』
22天前