日本では茶玩という名前が一般的になっている紫砂などで作られた小さな置物です。中国語で「茶宠(茶寵)」といい、茶壺同様コレクション価値の高い品物として知られています。茶玩にはユーモラスな造形のものも多くあり、お茶の席を囲む人たちとの場を和やかにする効果や、文化的な息づかいをそれとなく伝える効果もあります。 これは高順忠氏*の作品で、三色のタニシの上に生き生きとしたアオガエルが精緻に造形されています。今にも動き出しそうなカエルは目も動くように作られています。このカエル達を見ていると物語が浮かんできます。 小さな池のそばに住んでいるそのカエルの名前はぴょん。ある日ぴょんはタニシの上に座って空を見上げていました。タニシは丸くて柔らかく、ぴょんにぴったりの大きさでした。ぴょんは空を見上げるのが大好きでした。青い空に白い雲が浮かんでいて時々小さな飛行機が飛んでいきます。ぴょんはその光景をじっと見つめ、心地よい風を感じていました。ある日、ぴょんはタニシに「一緒に空を見上げませんか?」と尋ねました。タニシは「私は空を見上げることはできませんが、教えてくれるなら聞いてみたいです」と答えました。ぴょんは空の美しさ、雲の形や飛行機の音、太陽の暖かさなどをタニシに話しました。それからぴょんとタニシは毎日一緒に空を見上げるようになりました。ぴょんはタニシに空の美しさを伝え、タニシはぴょんに地球の穏やかさや平和を教えました。そしてぴょんはタニシの上で幸せな時間を過ごしました。タニシと一緒にいることで、空も地球も好きになれるようになったのです。 *高順忠氏:国家工芸作家、オーダーメイドにて造形する場合もあり、全ハンドメイド。 1968年江蘇省宜興市生まれ、1985年紫砂粘土造形の職人技を学び始める。長年の苦労と蓄積を経て、斬新な創造的コンセプトと明確で滑らかな仕上がりで作品の特徴を確立。さまざまな粘土造形、装飾品、書斎の装飾を専門とする彼は、数百の作家が争う紫砂業界においてユニークな存在であり、1996 年に「如意陶芸」アートスタジオを設立。長年にわたり、新たな優れた作品が次々と誕生し、コレクターや紫砂粘土愛好家に愛されている。 仕様:長さ5.5cm 幅3.5cm 高さ4.5cm 【手採寸】 材料:紫砂清水泥 紫泥 青灰泥 作成:全ハンドメイド
51天前